礼儀正しい道場破り
こんにちは。
日差しの強い日があります。春の南風は厳しいものがありますが、お元気ですか。また、学生時代のボクシング部での話をさせていただきます。古くてマニアックな体験ですが、お付き合いください。
学内体育館の3階に練習道場がありました。今と違って当時は人気のスポーツだったので、一般学生のギャラリーに囲まれる中で練習をしていました。(人生の中で一番張り切らざるを得なかった時期だったということもあります)
練習の常連は25人くらいで、トレーナーの先輩が4~5人。汗の匂いと熱気の中でガンガンやっていました。部員総勢は50人程でしたが、ほぼ半数位が毎日集まっていたと思います。因みに小生は、皆勤のグループに入っていました。
スタート時間はバラバラですが、まず入念な柔軟体操から始めます。そして、縄跳び。ぴゅっぴゅっというロープの音とトントンという軽快なつま先の反響が、細かいピッチで軽快なリズムを刻みます。脇を締めて顎を引いて、独特のスタイルで行います。3分の縄跳びは、結構大変です。格好良く飛べるようになったら一人前と言われていました。
次は、相手を想像しながらのシャドウボクシングです。仮想ボクシングですね。4ラウンド位を消化。
そして、パンチングミット。コーチの動かすミットを追いかけるようにパンチを当てます。強弱を付けながら、コンビネーションの練習をします。サンドバックの様にジッとしていませんから大変です。これも、いい音がするようになれば一人前と言われていました。肉体的には心臓バクバクで、このあたりが第一ピークです。
後は、心拍を整えてからスパーリングを思い切り2ラウンド。模擬試合といえども真剣勝負。自分の実力判定の目安になります。
リングから降りたらすぐにサンドバッグを3ラウンド。思い切り撃ち込みます。このあたりが第二のピークです。スタミナをつけるには、ここが大事なところです。パンチを磨き、戦闘力を充実させます。最後に腹筋や首、腕を鍛え、もう一度シャドウで体をほぐし、柔軟体操で終わります。約1時間半から2時間程のメニューですが、3分動いて30秒休憩のインターバル。シャワーで汗を流す頃には、頬がこけてる様子がよくわかります。
時折、他校の選手やプロの練習生の訪問があります(いつも突然に・・・)「一緒に練習させていただきたいのですが、宜しくお願いします」と。必ず礼儀正しい挨拶と共に参加してきます。そして、名指しでスパーリングを申し込んで来ます。突然では、こちらのコンディションの悪い時もありますから困るのですが、それでも必ず受けるのが礼儀のようになっていました。この時は、試合をするのと同じような覚悟と執念を持って臨みます。いわば「道場破り」されているのですからメンツをかけて応戦するのは当たり前。レフリーはいませんから、容赦なくボコボコにしてしまうこともありました。
4階に空手部の道場がありまして、そこからの突然参加でスパーリングを申し込まれることもありました。彼らは劣勢になると必ず足を出してきます。キックボクシングだか、喧嘩だかわからなくなります。でも総合するとボクシングは、最強かもしれないと今でも思っています。
また、週末にはプロのジムへ、こちら側から「道場破り」を敢行。ここでも門をくぐるとき、大きい声で礼儀正しい挨拶をして入っていきます。プロのジムですから毎回練習料を払ったと思います。スパーリングが目的ですから、相手を決めて対戦をお願いします。
この頃は、一週間単位で自らが強くなってくるのを確認できました。そんな時期は、たとえ返り討ちにされても意に介せず愉快でしたね。食事の時も歩いている時も頭の中はボクシング。
至福でした。
道場破りをする時のコツは、ターゲット選手のレベルを絶対見誤らないこと!
額装の㈱アート・コアマエダ(店主)