1万分の1ミリの世界
部署を異動して約4ヶ月。
『箔』の部署はどうやら異世界のようだ。
日常とはスピード感と単位が違う。
テキパキよりじっくりで
ミリというよりミクロン。
中でも箔貼りという金箔や銀箔を貼る仕事がある。
箔を貼るにはニスを使う。
箔の薄さは1万分の1ミリほどだそうで、その薄さゆえニスの拭き取り方ひとつで仕上がりが左右される。
額縁の形状で拭き方が変わり、ニスの割合やら、拭く順番を左から右とか角を入念にとか、溝はガーゼより綿棒がいいとか、職人によって培ってきたものが違うので、各々のやり方がある。
そして師匠たちの教えには工夫や知恵が詰まっていて日々勉強になっている。
仕事を通して箔が身近に感じるようになった。
金箔といえば尾形光琳と金閣寺くらいしか知らなかったので、これはいかんと、ちょっと見学に行きました。
下の写真は箔座日本橋で展示してあった
青森ヒバ間伐材に金箔1号色を施したもの。
キンキラッとしてました。
貼り方どうやってんだろと思案。
毎日の仕事に『研ぎ出し』という額縁に色をつける前の工程がある。
やすりを使って額縁を研ぐ。
角は特に入念に研ぐ。
やすり跡にこれほどまでに気を使うのかと最初の頃は到底理解できなかったし、
神経質かつ繊細にならざるを得ないので、辛い時もあったけど、段々と研ぐのがこなれてきて、手と理解が順応するようになり、ようやく神経のすり減らし具合も和らいできたように思う。
とはいえ、仕事はたまらなく楽しいし、
まだ一部しか知らないのでいろいろできるようになりたいし、今日もやってやるぞとミクロンの世界に入って挑んでいる。
ミクロの決死圏イン額縁
額装の(株)アート・コア マエダ(夕佳)