人海戦術のパネル額装(3)
こんにちは。高温多湿の日本列島。熱帯夜が続いていますが、お元気ですか。
早速ですが前回に続けます。
いよいよ分解したパネルに和紙をノリ張りです。表と裏と側面の全体に行います。パネルのアクを封じ込める工程です。これを「捨て貼り」とも言います。
そして、この上に二枚の「袋張り」をします。「袋張り」とは、端以外はノリを付けないで水張りすることです。剥せば、袋の様になっているところからこの名がついたそうです。パネルの側面から表面にかけてぐるりと、まわし張りをします。
つまりは、作品とパネルの間に合計3枚の和紙が入ることになります。まずはここまでを行います。
さすが、プロ集団。経師屋さんの動きは、無駄がなく美しいです。リズミカルにして、スピード感が心地よい。まさに仕事の速さは、リズムで決まる・・・って本当ですね。
「学ぶところ大なり」
ここは弊社の作業場です。写真のパネルは、いずれも裏側が上になっています。
すべて張り終えた後に自然乾燥させます。もう一度連結して寸法などに狂いがないかを確認しました。若干の微調整を施し、また単体パネルに分解します。
ここで余談を少々。
過去にもご紹介しましたが、作品の保存のためには、その周辺の紙は中性であることが求められます。額装に携わる私達も皆その様に考えて気を付けているのですが、そこには少し説明が必要です。【国際標準化機構】によると、最初の段階では弱アルカリ性であることと定めています。
ベニヤや周りの環境の影響で、時間の経過とともに徐々に酸性化することを折り込む必要があります。「ラーソン・ジュール・ニッポン㈱発行の創立記念号」の中でも同様のコメントを確認することができました。今回の袋張り紙は、初期設定をPH6~8程度の弱アルカリ性にしてあります。
次回は、最終回として、この上に作品を張るところをご紹介します。
できるだけ写真を多くしますので是非読んで下さいネ。
額装の㈱アート・コアマエダ(店主)