怒りの仏像
新型コロナウィルスによる外出自粛の規制も、少しづつ緩和されつつあります。まだ安心できない部分もありますが、正直うれしいです。早く、あの頃の自由で健康的な日常に戻りたいものですね。
こんにちは。
白状しますとこの時期、不機嫌が定期的にめぐってきていました。理由がない場合も多く、一定期間が過ぎる、また機嫌が直っているから不思議なんです。気まぐれで心身症的我が精神。すべては自粛要請等の規制のせいだと決めつけていますが、皆様はいかがでしたか。
さて、仏像の話です。
一般的なイメージとしては、仏様は静かなお姿をしています。慈愛に満ちたやさしいお顔をなさっています。ところが、奈良の東大寺や、薬師寺などには、傾向の違った仏像が色々あります専門誌によれば、怒髪天、四天王、十二神将、金剛力士、不動明王、広目天など。他にも、まだまだありますが、共通点は「怒りの仏像群」これらは、怒りに燃え全身で邪悪なものを踏みつけ抑え込もうとしています。
この形相はもの凄いものです。訪れる西欧の人達は、京都や奈良のこの憤怒仏像を理解できなかったそうです。その多くは「サタン」として単純理解していたように思われます。
怒りは、セネカもモンテーニュも始末に負えない情念としてネガティブに捉えています。ヨーロッパや中国にも見当たらないこの「怒りの彫刻」。日本独特のものなのでしょうか。それも見事に芸術化?されている。
学問的な見解は不案内ですが、世界の彫刻の常識からみて謎であり不思議な気がします。
そもそも仏教伝来の時から、賛成派と反対派の対立が存在していましたから「その反対派との相克に由来するもの」との説が、有力かと思われます。
ここで先週の工房での気になる額装紹介です。怒りと繋がりはありませんが、スペインの物故画家トレンツ・リャドの作品です。スタッフのアナログ手法によるオリジナル縁で額装させていただきました。
額装の㈱アート・コアマエダ(店主)